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 エッセイ


シネマエッセイ    鷹取洋二

第5回は、「最上教報」(最上教報社発行)の令和3年5月号掲載分を転載したものです。

二時間サスペンスの楽しみ方

 今、私は、二時間サスペンスにハマっています。
 新型コロナウィルス禍の中、好きな映画を観るためにシネコンに足を運ぶ機会が少なくなった私は、我が家のテレビで二時間サスペンスを楽しんでいるのです。ちなみに、ここでいう二時間サスペンスとは、テレビの二時間枠で放送されるサスペンスドラマのことで、昭和五十年代から平成の終わりごろまで民放五局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビ、テレビ東京)が競い合いながら、毎週放送していました。
 月曜日の夜はTBS、火曜日は日本テレビ、水曜日はテレビ東京、金曜日はフジテレビ、土曜日はテレビ朝日というように。そして、当時はゴールデンタイムで放送された二時間サスペンスが、現在、午後の時間帯を中心にBS各局(BS日テレ、BS朝日、BSTBS、BSテレ東、BSフジ)などで連日、再放送されています。
 実は、この二時間サスペンス、私の住んでいる岡山県エリアでは、午前十時から夕方六時にかけて平日には一日七〜八本、土・日・祝日には一日三〜五本もBSと地上波民放で放送されています。今年二月(注・令和三年)の放送本数は、一か月で百八十本を数えています。
  そこで今回は、毎朝、新聞のラテ欄とにらめっこしながら選んだ私のイチ押し番組とその楽しみ方を紹介し、私と同じようにステイホームを強いられている方の参考にしていただければ、と思います。余計なお世話かもしれませんが・・・。

 まずは、人気の長寿シリーズから―――

・内田康夫原作の『浅見光彦シリーズ』 ルポライターの浅見光彦が、取材先で巻き込まれた事件を解決するというこの番組は、日本テレビ、TBS、フジテレビの三局で昭和六十二年から百本をこえる作品が制作され、水谷豊、辰巳琢郎、沢村一樹、速水もこみち、平岡祐太、榎木孝明、中村俊介が主人公の浅見光彦を演じています。私は光彦とお母さんとのやり取りが大好きで、母を演じる野際陽子、加藤治子、佐久間良子、竹下景子の女優陣が、血なまぐさい事件が続く中で一服の清涼剤になっています。

・西村京太郎原作の『十津川警部シリーズ』 この作品もテレビ朝日、TBS、フジテレビの三局で競作され、昭和五十四年から約百四十本の作品が制作されています。主人公の警視庁捜査一課の警部・十津川を演じているのは、三橋達也、渡瀬恒彦、高橋英樹、内藤剛志、高嶋政伸ですが、十津川といえば平成29年3月に亡くなるまで全五十四作に主演した渡瀬恒彦が代表選手ということになるでしょう。

・『小京都ミステリー』(平成元年から計三十本) フリーライター(片平なぎさ)とカメラマン(船越英一郎)が、全国各地の小京都で事件に遭遇するという旅情サスペンス。お茶の間で旅行気分が味わえる作品で、シリーズ第二十四作「吉備津鳴釜殺人事件」では、岡山県津山市と高梁市が舞台になっています。

・『横山秀夫サスペンス・陰の季節』 神奈川県警警務部の二(ふた)渡(わたり)を上川隆也が演じる七本(平成十二年〜十六年)シリーズ。事件の最前線で動く刑事たちの活躍と警察内部の軋轢を人事担当者の眼を通して描く緊迫感溢れるストーリーで、サスペンスの醍醐味が味わえます。

・『森村誠一サスペンス・終着駅シリーズ』(平成二年〜) 新宿西警察署の牛尾刑事が主人公のシリアスな刑事もの。第五作目から牛尾刑事を演じる片岡鶴太郎と妻役の岡江久美子がいい味を出しています。 この終着駅シリーズはテレビ朝日制作ですが、TBS制作の『森村誠一サスペンス』もあり、こちらの主人公は、世田谷西警察署の川合刑事(三浦友和)。「窓」、「路」、「音」、「唄」などのシンプルなサブタイトルに特徴があり好きな作品です。平成十五年から計六本。

・『わが町』(平成四年から計十本) 原作は、アメリカの推理小説作家エド・マクベインの『87分署』ですが、この作品では東京の庶民的な町・月島にある警察署が舞台になっています。渡辺謙、蟹江敬三、佐藤B作、平田満などが演じる七人の刑事の個性を生かしながら、当時の世相や社会問題をも巧みに取り込んだ見事なサスペンスです。

・『刑事・鬼(おに)貫(つら)八郎』(平成五年から計十八本)  警視庁東中野警察署の刑事に大地康雄、妻に左時枝という地味で異色の出演者が見どころです。

・『警視庁機動捜査隊216』(平成二十二年〜)  初動捜査にあたる警視庁刑事部第二機動捜査隊目黒 分駐所の沢村警部補(沢口靖子)が主人公。事件に関わる様々な人たちの生き様が、ラストで鮮やかに収斂されて事件が解決、というストーリー展開が素晴らしい。主人公と部下三人(赤井英和、松尾諭、斉藤祥太)のアンサンブルもいい。

 この他にも『女タクシードライバーの事件日誌』(主演 /余貴美子)、『ヤメ判・新堂謙介』(主演/橋爪功)、『弁護士朝日岳之助』(主演/小林桂樹)、『事件』(主演/北大路欣也)、『警科研・湯川愛子の鑑定ファイル』(主演/竹下景子)、『駅弁刑事・神保徳之助』(主演/小林稔侍)などがありますが、紙数の関係でここまでとします。

  本編とは別に私のもう一つの楽しみは、番組のエンデ ィングで流れるスタッフロールで出演者や監督をチェ ックすることです。例えば『森村誠一サスペンス・終着 駅シリーズ』の監督・池広一夫は、映画の全盛時代『座 頭市シリーズ』や『眠狂四郎シリーズ』を撮っています。 このほか、森ア東、出目昌伸、工藤栄一など映画監督の 名前をテレビの画面で確認すると、今は消えてしまった 映画館に足を運んだ昭和の時代を懐かしく思い出すの です。

 二時間サスペンスの楽しみ方はさまざまです。



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